まさか per impossibile 2005 7 8
最近、アメリカの大手自動車会社は、
「社員割引を、一般消費者にも適用する」という特売セールをやっていると聞きました。
まさかとは思いますが、
閉店前の特売セールじゃないでしょうね。
自動車というものは、生産技術の塊です。
パソコンと同じ感覚で、安売りをすると、大変なことになります。
生産技術 2005 1 23
「なぜ、トヨタ自動車の株価は、もっと上がらないのか」という話をよく聞きます。
確かに、私が考えても、トヨタ自動車の株価は、もっと上がってよいと思います。
それは、科学技術と生産技術の違いを考えれば、そう思えるのです。
トヨタ自動車には、ハイブリッドカーという技術があります。
この技術は、科学技術で考えれば、画期的ではありませんが、
生産技術で考えれば、画期的です。
「実験室では作れても、工場で安定的に生産できるか」という問題です。
話が抽象的になりましたので、もっと、わかりやすい話をします。
中高年の人は、休みの日に、趣味で、「手打ちうどん」を作る人が増えたそうです。
ある人が「手打ちうどん」を作ったら、たまたま、プロ並みの「うどん」ができたとします。
そこで、「それでは、もう1回作ってください」と言われたら、どうでしょうか。
おそらく、それは、できないはずです。
ここが、素人とプロの違いです。
素人は、たまたま、偶然に、プロ並みの「うどん」を作ることがあるでしょう。
しかし、プロは、おいしい「うどん」を、毎日、何回でも、安定的に作ることができるのです。
科学技術と生産技術の違いを考える時に、
素人が作る「うどん」と、プロが作る「うどん」で考えれば、よく、わかるでしょう。
それほど、科学技術を生産技術に昇華させるには、高いハードルがあるということです。
「うどん」で話をしましたが、チャーハンだって同じです。
チャーハンならば、誰でも作れるでしょう。
そして、偶然にも、プロ並みのチャーハンができることもあるでしょう。
しかし、それを、毎日、毎回、安定的に作れるか。
毎日、毎回、安定的に作るには、長い修業が必要でしょう。
しかし、たいていの人には、長い修業をするほど、暇はありませんので、
「大した材料は使っていないのに、高いな」と思いつつも、
プロが作ったチャーハンを買うことになるのです。
(確かに、チャーハンには、大した材料は入っていません。
おそらく、プロの技術を、お金を出して買っているようなものでしょう)。